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映画表現の教科書 名シーンに学ぶ決定的テクニック100

『映画表現の教科書 名シーンに学ぶ決定的テクニック100』
ジェニファー・ヴァン・シル 著
吉田俊太郎 訳
2012年 フィルムアート社

セリフを使わない映像テクニックを100個集めた本です。
読んで気付かされたけれど、無声映画の時代は、セリフで物語を伝えることができなかったわけです。

100種類すべてに、サンプル映画とそのシーンのコマ写真。
そして詳細な解説がついています。
「教科書」という表現に間違いはなく、読むのはすごく楽しい。

しかし、この本を辞書のように使ってはいけません。
この中からどれを使おうか、という発想になるのは間違っていて、これだけ演出家はあれこれ考えているんだ、ということを知ることだけが本質だと思います。

自分の作品をつくる際に、じっと考え抜く。
どうやったら伝わるか、を考え抜く。

これが、映画作りの醍醐味だと改めて思いました。

大河ドラマをつくるということ

『大河ドラマをつくるとうこと』
大石学・時代考証学会 編
2012年 名著出版

大河ドラマの制作を通して、時代考証をどう考えるかを解き明かして行く本。
「なるほどなあ・・」としみじみ納得する内容でした。
時代考証というものをどうやって行い、そしてどこまで厳密に行うのか。
いくつかピックアップしてみます。

○あることがらをリアルにとらえようとする場合、事実を追いかけることでは達成されない。
むしろ、様々な取捨選択の技術や、ある種の嘘を加えることにより、リカル化は達せされることになる。
○『龍馬伝』ではいわゆる時代劇をやるつもりはありません。幕末という現代を描くドラマを目指したい。
当時の人々のいでたちや所作のリアルには徹底的にこだわりながら、「すぐ隣りにいる」ような臨場感あふれる人物像を作り上げていく。
○時代考証作業は、次のような過程になる。
原作→脚本→「時代考証担当による台本チェック」→演出→小道具・・・
○脚本家から原稿が届くと、一話ずつ、一言一句を交渉の先生方とチェックして行きます。
○最初の企画立ち上げから、放送終了まで。大河ドラマ一作品あたり、考証は、およそ三年半に及ぶ。
○時代劇、現代劇を問わず、事実を元にした番組を作るときには、まずは自分で年表をつくる。
主な登場人物が生まれてから亡くなるまで、その行動を日付単位で書き込む。
○史実との違いが分かっていながら制作したフィクションの場面もあるので、その際は理由を公式サイトなどで周知する必要があるだろう。
『篤姫』の場合は、史実と違う部分が大きな反響を呼び、資料を発掘してその検証が行われた。
それは大変望ましいことであり、時代考証はその契機の一つとなることができる。

大河ドラマは、厳密な歴史の再現ではなく、あくまで「ドラマ」であること。
そして、リアルさというものは、事実だけで成り立つのではないこと。

自分の作品にも反映させたい考えです。

<実戦>映像ライティング

『<実戦>映像ライティング』
櫻井雅章 著
2008年 玄光社MOOK

照明の本では、これがすごくオススメ。
動画撮影における照明の技術とノウハウを豊富な写真で紹介しています。

どれとどれがあれば、どんなことができるのか。
そんな参考にピッタリの本です。

特殊機材だけではなく、身近なものを使った工夫もいい。

この本を見ると、
○照明が「工夫」でできていること
○光の演出とは「作り上げていく」こと
ということがよーく分かります。

辞書のように都度パラパラめくって参考にする、という使い方に適しています。

専門用語集は役に立ちますが、全部覚える必要はありませんし、
機材リストも、その中からピックアップする、という見方をしましょう。

ジェームス三木のドラマと人生

『ジェームス三木のドラマと人生』
ジェームス三木 著
2008年 社会評論社

脚本家、ジェームス三木のエッセイと脚本論と半生記。
脚本についてなるほど、と思うところは前半に集中してます。

○脚本家としての私は、言葉の伝達をなるべく正確にしたい。一つのヒントは、なるべく短い言葉で表現すること。
このシーンは重要だから、言葉をたくさん使って書こう。心理描写、性格描写を丹念に書き込もう。
こう考えるとだいたい失敗する。たくさん書くと焦点がぼけるのだ。

○実は脚本家は、文才のある人より数学のできる人が向いている。

○「ドラマは数学である」野村芳太郎監督はそう教えてくれた。ムダな登場人物は一人も要らない、なくてもいい場面は、あってはならないと。
その後私は、極意を体得した。ドラマノ構成は、場面と場面、人物と人物、要素と要素が、掛け算になっていなければならない。足し算にしかならない部分は、全てオミットする。

○ドラマの脚本も、さまざまな制約がある方が、すんなり書ける。
製作予算が決まっていて、俳優のスケジュールがタイトで、しかもスポンサーの要求が厳しく、締切が目前に迫っていれば、選択肢は自ずから限定される。
えーいとばかりに書きまくるしかない。
「締め切りはありません。予算は無制限です」と言われると、たぶん途方に暮れる。
選択肢が多すぎて、何をどう描けばいいのか、あれやこれやと手がかりを探すうちに、焦点がぼやけて、駄作に終わりかねない。

○「セリフと感情とは、一致しないのが面白いんだよ。人間的なんだよ」
ダメな役者は、セリフ=感情、と思い込んでいる。だから演技が平べったくなる。

映像編集入門

『映像編集入門』
岡村征夫 著
2010年 オーム社

ずばり入門書です。
編集の歴史から基本知識、編集のテクニックまで幅広くちょこっとずつ紹介していきます。

初期設定から各種フォーマットまで詳しく書かれていて、
良いなと思ったのは、WindowsとMacintoshそれぞれ、複数の編集ソフトを並列して解説していること。
なんと7つものソフトを紹介しています。

個人的には、映像編集の全体像を俯瞰するのに役立ちました。

日本映画の世界進出

『日本映画の世界進出』
掛尾良夫 著
2012年 キネマ旬報社

映画業界に精通する著者による、映画業界の分析本。
日本映画を中心とした近代映画史、と言えるかもしれません。

これまでこの類の本は結構読んできましたが、これは読みやすかった!
ハリウッドの世界戦略、そしてヨーロッパやアジア各国が歩んできた道のりもまとめてあります。
日本は、携帯電話だけでなく、映画業界も「ガラパゴス」なのだと説いています。

本の半分は、データで占められていて、
こういった情報が好きな向きにもオススメです。

演出についての覚え書き

『演出についての覚え書き』
フランク・ハウザー/ラッセル・ライシ 著
シカ・マッケンジー 訳
2011年 フィルムアート社

伝えることが難しい「演出」についての本です。
舞台の演出法についての本だが、個人映画にも活かせるかと思った部分を抜粋。

○それぞれの人物を「もし自分が演じるなら」と仮定して、そのパートだけを読む。続けて読んでいくと鮮やかなアイデアが浮かび、役のポイントもつかめる。
○優れた劇には、主要人物に対して「するかしないか」という問いがある。それを見つけよ。
○思い描いたイメージの60%が実現できたらかなりのものだ。すべてを思い通りに動かそうと思うな。
○演出家にとって最高の褒め言葉は「あなたは初めから何がしたいかはっきり分かっているように見えました」。あなたがびくびくしていたら、役者やスタッフはそっぽを向くだろう。明確で自信にあふれた態度をとれ。
○イメージ通りの俳優を期待するな。オーディションで大事なのは、「この役に見えるかどうか」ではなく「この役が演じられるか」だ。
○シーンに起伏をつけろ。シーンの中にも、シーンがある。
○それぞれの担当分野についてスタッフのアイデアを求めなさい。演出家に直接、個人的に話しにきてもらうこと。
○見学者を招こうと思ったら・・「セリフが聞こえなかったところは?」「意味が分からなかったところは?」など質問をするといい。
○感情を示す言葉でアクションを説明するな。行動で表せない、感情面の演出を与えるな。
○台本を暗記したばかりの役者には優しくしろ。最初に台本を見ずに演じ始める役者は、傷つきやすい状態にある。新しい目標の達成や、的確さを求めるな。

日本のドキュメンタリー

『日本のドキュメンタリー』
佐藤忠男 著
2009年 岩波書店

戦前戦後を通して、ドキュメンタリー映画の歴史と現在をまとめた本。
DVDが付いていて、実際の映像も少し観ることができます。

歴史としては知らないことが多かったが、最初はプロバガンダとして使われていた、というのは想像に難くないですね。
社会派、私的ドキュメンタリー、産業・科学映画、などと分類されるのは新鮮でした。

気になった点をいくつかピックアップします。

○ドキュメンタリーは重くて暗い、という印象を抱かれてしまいそうだ。それはドキュメンタリーのせいではなく、現実そのものが難題や課題をうんざりするほど抱えているからなのだが、しかし、渦中の人達は決して暗いわけではない。当たり前のことだが、人間はそんな息苦しいことばかりではいきていけない。

○撮影の際は、被写体の日常に入り込む時は気をつかう。
どこからでも撮影できるように、明かりをそのまま生かし、電球を明るいものに変えてゆく。

○カメラは小さく、圧迫感をあたえないものを使う。

○ワイコンを使い、対象に肉薄した映像を撮る。

○常に臨戦態勢。狙っているものに出くわしたら、即カメラを回せ。
カメラを回しながら、絞りやレンズを決めればいい。遠ければ走って近づけ。

○対象の感情の揺れを撮るには、仕掛けてでも撮れ。

映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?

『映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?』
斉藤守彦 著
2009年 ダイヤモンド社

映画の配給・興行の歴史をひもといていき、映画の入場料金の経緯を追って行く本。

年代別の興行収益、なんていうのはよく本に出てますが、入場料金という視点での変遷は珍しいです。
そういえば、僕が高校生の頃(20年前)から考えると、映画の料金はときどき変わっている気がしますね。

著者は、「映画館は観客の味方であるべき」という視点で業界構造に切り込んで論じていきます。
映画を作る人もいれば、買ったり売ったりする人、そして見せる人もいる。
それぞれ、違った仕事なのだと理解できます。

映画業界の、「見せる」ことに興味ある人は抑えておきたい内容でしょう。
最後の、映画館チェックリスト100もおもしろいです。

<日本製映画>の読み方

『<日本製映画>の読み方』
武藤起一・森直人・編集部 編
1999年 フィルムアート社

80年代90年代を代表する注目の映像作家を紹介し、日本映画の今後を分析する本です。

ちょっと古いのは否めませんが、少し前の映画業界から今の状況を見てみるのも面白いと思います。

この本のいいところは、単にヒット作だけを挙げたものではなく、アート系や政治系など、幅広いジャンルにスポットを当てているところ。
つい、自分の好きなジャンルばかり詳しくなってしまいがちだけど、こうやって広く俯瞰できるのはいい。

最後は、日本映画の歴史や、ミニシアターとシネコン、今後の映画の作り方まで論じていきます。