カテゴリー別アーカイブ: その他

フェイクドキュメンタリーの教科書

『フェイクドキュメンタリーの教科書』
白石晃士 著
2016年 誠文堂新光社

ホラー映画などで活躍を続ける著者が、
フェイクドキュメンタリーという手法について語る本。

言葉の分類やこれまでの歴史に始まり、
個人的に行っているテクニックまで。
編集テクニックなども写真入りで紹介されていて参考になります。

付録のDVDには、
企画から撮影終了までの9時間のドキュメンタリーも。
編集のやり方なども参考になります。
※少しかじった人向けかな。

面白いと思った手法をいくつかピックアップしました。
(※少し文体を変更)

・セリフはしっかり用意していたわけではなく、撮る前に「こんな風なことを言って欲しい」と口頭で伝える。文字に囚われて演技がわざとらしくなってしまうから。

・アドリブはあまりない。フェイクドキュメンタリーであっても、脚本がないとダラダラ撮って撮影時間の無駄。脚本段階でいろいろ絞ってリズムを生み出すようにしている。

・キャスティングは重要。芝居っぽい芝居をしない役者を選ぶ。しかしこれは監督の感性でしかない。

・役者のことをよく知り、本人の中にある資質をキャラクター演出に活かす。その資質を利用する。

・カメラは自分で回す。どうしても長回しが多くなるので、ほかの人にカメラを任せると、「かっこいい画角」などをつい目指してしまう。これは感覚的な問題なので、指示を出すのが難しい。

・物語は、カメラを回していても不自然ではないシチュエーションからスタートする。結婚式とか運動会、誕生会、旅行先など。そして、撮り続ける必然性を考える。

・一眼レフの映像は劇映画向きで美しいので使わない。シンプルなカメラの方がリアリティーが出る。

・録音は重要。劇映画のようにセリフっぽく話すわけでもなく、ブツブツ言ったりもするから。

プロジェクションマッピングの教科書

『プロジェクションマッピングの教科書』
田中健司 著
2017年 C&R研究所

プロジェクションマッピングとは、
夜の建物などに、映像を投影する表現手法のこと。

映画制作とは少し違いますが、
制作過程を見ていると限りなく近いと思いました。

教科書と銘打っているだけあって、
関係する内容が網羅的に解説されています。

機材の話だけでなく、
許可申請やチームワークについても。

大掛かりな投影となると、
何人も人手が必要なんですね。

そして、最も共感したことですが
ソフトや制作以外に、
企画力やコミュニケーション力がいかに大事か、と。

これもまた、映画制作も同じですね。

ビデオジャーナリズム

『ビデオジャーナリズム』
神保哲生 著
2006年 明石書店

個人で戦うビデオジャーナリストの本です。
これだけ機材が身近になったのだから、どんどんジャーナリズムに挑戦して欲しいという想いから書かれています。

ドキュメンタリーの本はよくあるが、それとはちょっと違う。
「ジャーナリズムの文法」として、映像の表現・記録方法について詳しく書かれており、撮影の基礎講座としても十分役に立ちます。
機材リストも参考になるでしょう。

でも何より、「ジャーナリズムとは」「心構え」といったところに軸足が置かれていると強く感じました。

映画も同じ。
どうやって撮るかの前に、何を表現したいか、が重要なのです。

アメリカ映画風雲録

『アメリカ映画風雲録』
芝山幹郎 著
2008年 朝日新聞出版

有名なアメリカ映画の、舞台裏の監督たちの様子を活写していく本です。
『ミリオンダラー・ベイビー』を撮影しているイーストウッド、
『ロリータ』を撮影しているキューブリック、
『ゴッドファーザー』を撮影しているコッポラ、
『キル・ビル』を撮影しているタランティーノ・・・。
監督たちのわがままぶり、映画への情熱、プロデューサーとの確執。
監督とはさもありなん、という様子が伝わってきます。
映画とはつまり、監督そのものだということも。

それにしても、『ゴッドファーザー』を監督した時のコッポラが
33歳だったというのには愕然としました。

デジタルムービー実践ガイドブック

『デジタルムービー実践ガイドブック』
ビデオSALON責任編集
2012年 玄光社MOOK

写真を見るだけでも、シンプルに興奮する本です。
一眼レフでムービー撮影ができるようになった今、
結局その人の「画作り」の力量がより試されるようになってしまった、
という状況になっています。

この本では、カメラの機種や機材の紹介とともに、
実際に一眼レフでムービーを撮影していく過程を事細かに解説していきます。
最後は、いろんな監督のショートムービーの作り方を
ドドッと立て続けに紹介します。
映画の作り方マニアの僕も納得の内容です。

チェコアニメの巨匠たち

『チェコアニメの巨匠たち』
企画・製作:高城昭夫
企画・監修:くまがいマキ、小宮義宏
2003年 エスクァイア マガジン ジャパン

写真を見ているだけで胸が高鳴る本です。
なぜチェコでアニメが?という疑問について、
歴史背景や文化面での説明がありますが、正直よく分かりませんでした。

でもまあ、そんなことより、チェコアニメ作品の数々のものがたりが興味深い。
20分を超えると構成がおかしくなる、という意見もなるほど、と思いました。
アニメが、リアルな人形だけでなく、糸くずやハンカチ、きり絵など
様々な手法で作られていくことも初めて知りましたし、
どんなストーリーが題材にされるのかを見ているだけでも面白い本です。

一秒四文字の決断 セリフから覗くフランス映画

『一秒四文字の決断 セリフから覗くフランス映画』
山崎剛太郎 著
2003年 春秋社

常々、フランス映画のセリフは独特だと感じてきました。
詩的、と言うべきでしょうか。
説明口調だったり、状況解説的なアメリカ映画のセリフと違い、
あのフランス映画の翻訳はどんなものなのか。
そんな気持ちで読んでみた本です。

著者は長年、フランス映画の字幕翻訳を手掛けてきた人物。
この本の中で、数多くの映画のセリフの翻訳の背景を解説していきます。

やはり、直訳のセリフは、恐ろしく意訳されていることを知れます。
字幕の世界の本はどれもそうですが、「言葉」の重みをすごく感じます。

自分の書くシナリオのセリフも、限りなく贅肉を落としたいものだと
改めて思いました。

映像技術者になるには

『映像技術者になるには』
有竹緑 著
1993年 ぺりかん社

「なるにはBOOKS」という、職業紹介シリーズの1冊です。
巻末に、専門学校やTVプロダクションの情報が並んでいますが、
ずいぶんと古い本ですので、多少変わっている可能性はあります。

この本は、そういう情報を得るというより、
業界の仕事の役割分担の詳細、
業界が欲しがっている人物像のインタビューを読むことに意義があります。

憧れの強い業界です。
個人的にも、働いている人も多く知っていますし、
身体を壊したりいろんな理由で辞めた人も多く知っています。

幅広い情報収集をしたうえで、まずは実際に現場に飛び込んでみてから
続けたいかどうかを決めてほしいなと思います。

表現のビジネス—コンテント制作論

『表現のビジネス—コンテント制作論』
浜野 保樹 著
2003年 東京大学出版会

映画を中心に、行程、人材、収益構造、教育、アーカイブなど
コンテンツ産業をあらゆる方面から網羅的に紹介した本です。

某有名監督のコメントで「映画の作り方とか全部嘘なんです。
こういうものが作りたいと思うものができあがるんです」とある。
これは非常に理解できます。
ただ、ビジネスで成功したい人に「人に感謝すれば成功するんだよ」
と言ってるくらい漠然としたアドバイスであることも分かります。

これに対し著者は「他人に観てもらったり大勢と共有するには、
慣れたフォーマットに従う方が無難である」と現実的なコメントを返しています。

こういった、教科書だけでない部分を読むのも面白かったです。

また、あらゆる用語が英語でも併記されてて、そういった勉強にもなります。

玲子さんのシネマ・ファッション

『玲子さんのシネマ・ファッション』
西村 玲子 著
1991年 講談社

映画エッセイ本です。
何かを得る、何かためになる、という類の本ではないものの、
僕は映画エッセイは数多く読むようにしています。

映画を作る、という作業は、ともすれば独善的になってしまい、
冷静さを失ってしまう。
意見を聞ける周りの人も、自分が選んだ人ばかりであることを考えると、
そんなに幅広い意見が集まるとも限らない。

そんな時、自分とは違う視点を知る。
こんな風に感じる人もいる。こんな見方もある…。

そんな意味も込めて、こういった視点を絞ったエッセイ本も、
作り手として読むのもいいのです。