カテゴリー別アーカイブ: プロデュース

PIXAR 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話

『PIXAR 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話』

ローレンス・レビー 著/井口耕二 訳
2019年 文響社

何度か取り上げているピクサー本の一つ。

これまでの本が全てクリエイティブな面に
ついて書かれていたのに対し、
本書は経営とお金の話に徹しています。

正直、自主映画を作る人に役立つかというと、
怪しいでしょう。
ただ、次のことが深く腑に落ちたのです。

ものづくりとお金というのは両輪なのだということ。
お金の使い方も、経営の仕方も、
ピクサーはクリエイティブを大事にしたのだ、ということ。

何より、読んでいてこれだけ興奮することもない。
ちょっとイレギュラーですが、
紹介本の一つに選んでみました。

ピクサー流マネジメント術

これは、僕が人生で最も感動した本の一つです。

『ピクサー流マネジメント術
天才集団はいかにしてヒットを生み出してきたか』

ピクサー社。
誰もが知ってる、アニメーション映画の制作会社。
『トイ・ストーリー』『ファインディング・ニモ』などにん始まり、どれもこれもヒットしている。

このピクサー映画の“作り方”を丁寧に解説しているのが本書。

●ピクサーの制作本数

年に1本の新作を発表する。
その間、短篇映画を作る。

●ピクサーはすべての作品を自前で作り上げている

ピクサーにおいて映画企画を発案するのは、あくまで監督の役割。
監督志望者は、中心となる監督達を前に、自らのアイデアをプレゼンする。
企画、熱意などをプレゼンする。売り込む。
そしてその可能性が認められた企画だけが、次の段階に進む。
・・・(後略)

●表現に応じて、それを実現する技術を開発する

物語が第一優先。
伝えたいビジョンが先にあり、それをかなえるためにテクノロジーが必要とされる。
新技術が先にあってその技術を生かすために物語が作られるのではない。

●学び続けるためのピクサー大学の存在

ピクサー社員のための各種講座が存在する。受講料は無料。
社員として会社で働きながら、新たな技術を習得したり、
自らの技能を他の社員に教授するための場。
(後略)

・・・などなど線を引きたくなる箇所だらけ。

『Mr.インクレディブル』のブラッド・バード監督の言葉も深く深く、心に刺さりました。

ジョン・ラセターが『トイ・ストーリー』を作ったのは、誰かに「オモチャを主人公にした映画を作れ!」と命令されたからじゃない。
オモチャ好きが高じて「オモチャの映画を作りたい!」と主張したから。
『ファインディング・ニモ』のアンドリュー・スタントンは魚好きだし、
『モンスターズ・インク』のピート・ドクターは、押し入れのお化けがどこに消えたのか、気になって仕方なかった。

ビデオグラファーの制作術

『一人で質の高い映像作品を作る!
 ビデオグラファーの制作術』
岸本 康 著
2015年 玄光社

とてもいい本を見つけました。

一人で映画を作るための、
そしてちょっとレベルが上の映像を目指すための、
事細かい情報が満載です。

が!
お断りをしておきます。

すでに数本、自分で作ってみた人だけが読んでください。
何作品が作ってみて、自分の経験や機材と照らし合わせながら読むととても役に立つ本です。

まったく経験のない、仲間もいない、
頭でっかちの状態でこれを読むと・・・

さらに頭でっかちになります。

そして、映画制作がスタート不可能な状態に陥る可能性があります。
それだけ、細かい情報が充実しています。

豊富な情報というのは、諸刃の剣ですね。

大河ドラマをつくるということ

『大河ドラマをつくるとうこと』
大石学・時代考証学会 編
2012年 名著出版

大河ドラマの制作を通して、時代考証をどう考えるかを解き明かして行く本。
「なるほどなあ・・」としみじみ納得する内容でした。
時代考証というものをどうやって行い、そしてどこまで厳密に行うのか。
いくつかピックアップしてみます。

○あることがらをリアルにとらえようとする場合、事実を追いかけることでは達成されない。
むしろ、様々な取捨選択の技術や、ある種の嘘を加えることにより、リカル化は達せされることになる。
○『龍馬伝』ではいわゆる時代劇をやるつもりはありません。幕末という現代を描くドラマを目指したい。
当時の人々のいでたちや所作のリアルには徹底的にこだわりながら、「すぐ隣りにいる」ような臨場感あふれる人物像を作り上げていく。
○時代考証作業は、次のような過程になる。
原作→脚本→「時代考証担当による台本チェック」→演出→小道具・・・
○脚本家から原稿が届くと、一話ずつ、一言一句を交渉の先生方とチェックして行きます。
○最初の企画立ち上げから、放送終了まで。大河ドラマ一作品あたり、考証は、およそ三年半に及ぶ。
○時代劇、現代劇を問わず、事実を元にした番組を作るときには、まずは自分で年表をつくる。
主な登場人物が生まれてから亡くなるまで、その行動を日付単位で書き込む。
○史実との違いが分かっていながら制作したフィクションの場面もあるので、その際は理由を公式サイトなどで周知する必要があるだろう。
『篤姫』の場合は、史実と違う部分が大きな反響を呼び、資料を発掘してその検証が行われた。
それは大変望ましいことであり、時代考証はその契機の一つとなることができる。

大河ドラマは、厳密な歴史の再現ではなく、あくまで「ドラマ」であること。
そして、リアルさというものは、事実だけで成り立つのではないこと。

自分の作品にも反映させたい考えです。

日本映画の世界進出

『日本映画の世界進出』
掛尾良夫 著
2012年 キネマ旬報社

映画業界に精通する著者による、映画業界の分析本。
日本映画を中心とした近代映画史、と言えるかもしれません。

これまでこの類の本は結構読んできましたが、これは読みやすかった!
ハリウッドの世界戦略、そしてヨーロッパやアジア各国が歩んできた道のりもまとめてあります。
日本は、携帯電話だけでなく、映画業界も「ガラパゴス」なのだと説いています。

本の半分は、データで占められていて、
こういった情報が好きな向きにもオススメです。

日本のドキュメンタリー

『日本のドキュメンタリー』
佐藤忠男 著
2009年 岩波書店

戦前戦後を通して、ドキュメンタリー映画の歴史と現在をまとめた本。
DVDが付いていて、実際の映像も少し観ることができます。

歴史としては知らないことが多かったが、最初はプロバガンダとして使われていた、というのは想像に難くないですね。
社会派、私的ドキュメンタリー、産業・科学映画、などと分類されるのは新鮮でした。

気になった点をいくつかピックアップします。

○ドキュメンタリーは重くて暗い、という印象を抱かれてしまいそうだ。それはドキュメンタリーのせいではなく、現実そのものが難題や課題をうんざりするほど抱えているからなのだが、しかし、渦中の人達は決して暗いわけではない。当たり前のことだが、人間はそんな息苦しいことばかりではいきていけない。

○撮影の際は、被写体の日常に入り込む時は気をつかう。
どこからでも撮影できるように、明かりをそのまま生かし、電球を明るいものに変えてゆく。

○カメラは小さく、圧迫感をあたえないものを使う。

○ワイコンを使い、対象に肉薄した映像を撮る。

○常に臨戦態勢。狙っているものに出くわしたら、即カメラを回せ。
カメラを回しながら、絞りやレンズを決めればいい。遠ければ走って近づけ。

○対象の感情の揺れを撮るには、仕掛けてでも撮れ。

映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?

『映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?』
斉藤守彦 著
2009年 ダイヤモンド社

映画の配給・興行の歴史をひもといていき、映画の入場料金の経緯を追って行く本。

年代別の興行収益、なんていうのはよく本に出てますが、入場料金という視点での変遷は珍しいです。
そういえば、僕が高校生の頃(20年前)から考えると、映画の料金はときどき変わっている気がしますね。

著者は、「映画館は観客の味方であるべき」という視点で業界構造に切り込んで論じていきます。
映画を作る人もいれば、買ったり売ったりする人、そして見せる人もいる。
それぞれ、違った仕事なのだと理解できます。

映画業界の、「見せる」ことに興味ある人は抑えておきたい内容でしょう。
最後の、映画館チェックリスト100もおもしろいです。

<日本製映画>の読み方

『<日本製映画>の読み方』
武藤起一・森直人・編集部 編
1999年 フィルムアート社

80年代90年代を代表する注目の映像作家を紹介し、日本映画の今後を分析する本です。

ちょっと古いのは否めませんが、少し前の映画業界から今の状況を見てみるのも面白いと思います。

この本のいいところは、単にヒット作だけを挙げたものではなく、アート系や政治系など、幅広いジャンルにスポットを当てているところ。
つい、自分の好きなジャンルばかり詳しくなってしまいがちだけど、こうやって広く俯瞰できるのはいい。

最後は、日本映画の歴史や、ミニシアターとシネコン、今後の映画の作り方まで論じていきます。

熱闘 映画術

『熱闘 映画術』
椎名誠
1991年 マガジンハウス

椎名誠監督の映画『うみ・そら・さんごのいいつたえ』の
撮影現場を写真とインタビューで追ったフォトドキュメンタリー。

個人的に椎名誠のファンというのもあるけれど、
そうでなくても一連の写真には興奮すると思います。
多くの仲間が集まって、大変さにひーひー言いながらも、
うまいものを食って酒を飲んで歌って踊って、そして撮る。
ひとつの幸せな映画撮影現場の姿を、目で追体験できます。

映画の撮影現場って、たいてい文字でしか読めないことが多いので、
こうやって多くの写真で具体的にイメージできるのは貴重だと思います。

ちなみに、椎名誠は、上映キャラバンでも有名です。
できあがった作品をかついで、全国をまわっていました。

映画とは、つくることと見せることの両方でなりたっている好例です。

じゃ、やってみれば

『じゃ、やってみれば』
阿部秀司 著
2012年 日本実業出版社

★カルフ文庫認定
ROBOT創業者で映画プロデューサー、阿部秀司氏の映画制作論です。
映画プロデューサーの本の中でダントツによかった!

映画を生み出すこと、そして結果を出し続けること。
そのために考えていることをエッセイ風につづっていきます。

いくつか抜粋。

●監督は性格で選ぶ。
●シナリオを選ぶ時は3つのことを考えている。
・頭の中に具体的な絵が浮かぶか
・セリフが自然か
・ディテールまで考え抜かれているか
●映画に対する思い入れと、映画をビジネスとしてとらえる客観性の両面。
冒険だけだとダメだが、冒険をしないようでもダメ。
ビジネスを意識してマーケットを考え、リスクを減らしつつチャレンジする。
いわば”情熱と冷静”の両輪、矛盾を超えてヒットは生まれる。

余談ですが、数年前に仕事で、恵比寿にあるROBOTに伺ったことがあります。
ちょうど、『つみきのいえ』がオスカーを穫った年。
受付にオスカー像が鎮座していて、持って写真を撮らせてもらいました。
ずしりと、重かったです。