カテゴリー別アーカイブ: 演技・演出

まんがはいかにして映画になろうとしたか

『まんがはいかにして映画になろうとしたか
ー映画的手法の研究』
大塚英志 著
2012年 エヌティティ出版

手塚治虫は映画を手本として漫画を描いたそうです。
そして、その漫画のコマ割りを見た藤子不二雄は
絵が動いている!と感銘を受けたそうです。

漫画のコマワリと、映画のカット割。

連続するカットによりどんな効果を出していたのか。
石ノ森章太郎はどうしたか。
海外のまんがはどうなのか。
アメリカのコミックは、
韓国は、台湾は・・・

など、ボリューム満点の本。

理論派には好まれる内容かもしれませんが、
単純に映画の作り方に活かそう、という目的で
読む本ではないかもしれません。

俳優の演技訓練

『俳優の演技訓練』
三谷一夫 編著
2013年 フィルムアート社

プロの映画人材を育成する「映画24区」代表による、映画演技についての本です。
演技ワークショップの講師として呼ばれた24人の映画監督が持論を展開していきます。

一つ一つが短く、さらっと読めますが、濃い。
監督がどういうものを俳優に期待しているのか、という視点で読むと得るものが大きいと思います。

特に心に残ったのはこれ。

「人前で演技するのが好きなことと、演技ができることは違う」

漫画バイブル5 コマ割り映画技法

『漫画バイブル5 コマ割り映画技法』
塚本博義 監修
2007年 マール社

いわゆる、漫画の手引書です。
でも、タイトルに惹かれて手に取ってみると、これが結構参考になったのです。
漫画の描き方も、映画に役立つな、と発見です。

映画のカット割と、漫画のコマ割りを比較。
その演出の違い。

カメラワークを意識した絵の描き方。

ズームイン・アウトやパン・ティルトの描き方など、
絵コンテの描き方に通ずる部分もあり。

漫画の演出法、というのは考えたことがなく面白かった。

右から左、上から下へと読者の視線をうながす。
ページ見開きをイメージしてコマ割りを演出する、など。

また、漫画はセリフの文字や大きさ、効果音の表現も演出の一つです。
ここは映画と違うところですね。

いやあ、参考になるところもならないところも、面白かった。

映画表現の教科書 名シーンに学ぶ決定的テクニック100

『映画表現の教科書 名シーンに学ぶ決定的テクニック100』
ジェニファー・ヴァン・シル 著
吉田俊太郎 訳
2012年 フィルムアート社

セリフを使わない映像テクニックを100個集めた本です。
読んで気付かされたけれど、無声映画の時代は、セリフで物語を伝えることができなかったわけです。

100種類すべてに、サンプル映画とそのシーンのコマ写真。
そして詳細な解説がついています。
「教科書」という表現に間違いはなく、読むのはすごく楽しい。

しかし、この本を辞書のように使ってはいけません。
この中からどれを使おうか、という発想になるのは間違っていて、これだけ演出家はあれこれ考えているんだ、ということを知ることだけが本質だと思います。

自分の作品をつくる際に、じっと考え抜く。
どうやったら伝わるか、を考え抜く。

これが、映画作りの醍醐味だと改めて思いました。

演出についての覚え書き

『演出についての覚え書き』
フランク・ハウザー/ラッセル・ライシ 著
シカ・マッケンジー 訳
2011年 フィルムアート社

伝えることが難しい「演出」についての本です。
舞台の演出法についての本だが、個人映画にも活かせるかと思った部分を抜粋。

○それぞれの人物を「もし自分が演じるなら」と仮定して、そのパートだけを読む。続けて読んでいくと鮮やかなアイデアが浮かび、役のポイントもつかめる。
○優れた劇には、主要人物に対して「するかしないか」という問いがある。それを見つけよ。
○思い描いたイメージの60%が実現できたらかなりのものだ。すべてを思い通りに動かそうと思うな。
○演出家にとって最高の褒め言葉は「あなたは初めから何がしたいかはっきり分かっているように見えました」。あなたがびくびくしていたら、役者やスタッフはそっぽを向くだろう。明確で自信にあふれた態度をとれ。
○イメージ通りの俳優を期待するな。オーディションで大事なのは、「この役に見えるかどうか」ではなく「この役が演じられるか」だ。
○シーンに起伏をつけろ。シーンの中にも、シーンがある。
○それぞれの担当分野についてスタッフのアイデアを求めなさい。演出家に直接、個人的に話しにきてもらうこと。
○見学者を招こうと思ったら・・「セリフが聞こえなかったところは?」「意味が分からなかったところは?」など質問をするといい。
○感情を示す言葉でアクションを説明するな。行動で表せない、感情面の演出を与えるな。
○台本を暗記したばかりの役者には優しくしろ。最初に台本を見ずに演じ始める役者は、傷つきやすい状態にある。新しい目標の達成や、的確さを求めるな。

成井豊のワークショップ/感情解放のためのレッスン

『成井豊のワークショップ/感情解放のためのレッスン』
成井豊 著
2010年 論創社

キャラメルボックスの成井豊による役者のためのレッスン本です。
役者の訓練法として読みました。
相手を信用しなければならないような2人組の組み体操で、コミュニケーションを学ぶ方法など、普段のレッスン法が満載。

面白い知識もありました。

「発声練習で鍛えた部分と、セリフで使う声の出し方が違うと、活かせない」
「読み合わせでは、自分のパートだけ線を引いて覚えて考えるのは素人。全部を読むこと」

役者とは、感情表現だけでなく、身体訓練やメンタル面も鍛えることが必要な仕事なのだとつくづく思います。
全体的に感じたのは、自分を偽って「演技」しないということ。
自分の身体を、表現したいものに近づけるのだ、という感じ。

映像演出の教科書

『映像演出の教科書』
藍河兼一 著
2011年 玄光社MOOK

絵コンテの画像がたっぷりと掲載された「演出」の本です。
非常に面白く読めました。
しかしこの本、装丁や雰囲気から、うっかり「絵コンテの描き方の本」と勘違いする人もいるかもしれません。

この本はあくまで、監督である著者が、シナリオをどう読み解き、どう演出したか、という事例を4つ掲載したものです。
著者の思考をドキュメンタリータッチで紹介したもの。

自分の演出意図のために、どんな機材を使いどう活用したか、どんな映像・カット割りにしたか、を追っていけるので、勉強になります。
あくまで著者が考えた演出の事例集。
著者も、こうあるべき、という風にはとられたくないだろうなと思います。

高校生のための実践演劇講座 舞台美術・照明・音響効果篇

『高校生のための実践演劇講座 舞台美術・照明・音響効果篇』
監修つかこうへい
1997年 白水社

常々、映画と演劇の類似性に注目していて、演劇から学べるものはないかと本を読んでます。
この本は技術論についてそれぞれの専門家へのインタビューでできています。
演出家=映画監督
舞台美術=映画カメラマン
照明=照明さん
音響=音声さん
と置き換えて読むことができると思います。

それぞれ刺さった言葉をいくつかまとめます。

●舞台監督
台本から意図を読取ることが必要。
何度も絵を書いて、演出家とすり合わせしていく。
人によって十人十色だから。
色でも演出できる。

●照明
機材それぞれの特性を生かして、色を作っていく。
台本を読んで、その意図を組む。
光を当てる場所、順番などの段取りを組む。
役者の立ち位置など、絵コンテを詳細に書く。

●音声
芝居と音が分離してるなあと感じることが多い。
多くの舞台は、音の意味まで考えていない。
場面の切り替わりを音や照明でやることができる。
音は背景になったり、情感になったりセリフになったりする。
音楽の選び方は、イントロを聞いて何か感じるものを選ぶ。
自分が感じないものを他人が感じることはない。
そして情景が浮かぶものを選ぶ。
芝居に合わない部分はバッサリ切る。

まとめとして、タイミング表を作るのが演劇らしいと思いました。
そしてこれは、編集ノートと考えると映画にぴたりと一致するわけです。

役者のパートナー マネジャーの足跡

『役者のパートナー マネジャーの足跡』
能村庸一 著
2004年 思文閣出版

マネージャーに焦点をしぼって、その歴史と仕事内容をまとめた本です。
かなり珍しいですね。

マネージャーという職業が市民権を得ていく過程、
仕事の仕方、苦しみ、浮き沈みがつづられていきます。
おしむらくは、内容がどうしても昭和の匂いがすること。

最後の74名もの現役マネージャーのインタビューは圧巻。
決して、2つと同じ仕事は無いのだと思い知らされます。
1冊で、マネージャーの視点から見た芸能の歴史を見た気がしました。
映画やテレビの役者の世界がかいま見れる濃い一冊です。

演劇やろうよ!

『演劇やろうよ!』
かめおかゆみこ 著
2004年 青弓社

子どもたちの演劇を指導して全国をまわる著者が、
具体的にどうやって作っていくのかを一つ一つひも解いていきます。

演劇の本だけれど、かなりの部分が映画にも役立ちます。
演出法は、子どもたちという素人向けなので、自主映画でも使えますし、
スタッフ構成、それぞれの仕事から、小道具の作り方、
スモークの炊き方など細かいところまで行き届いています。

なんだか、舞台が作れそうな気がしてくる本ですね。