カテゴリー別アーカイブ: 演技・演出

演劇やろうよ!

『演劇やろうよ!』
かめおかゆみこ 著
2004年 青弓社

子どもたちの演劇を指導して全国をまわる著者が、
具体的にどうやって作っていくのかを一つ一つひも解いていきます。

演劇の本だけれど、かなりの部分が映画にも役立ちます。
演出法は、子どもたちという素人向けなので、自主映画でも使えますし、
スタッフ構成、それぞれの仕事から、小道具の作り方、
スモークの炊き方など細かいところまで行き届いています。

なんだか、舞台が作れそうな気がしてくる本ですね。

これが「演出」なのだっ

『これが「演出」なのだっ』
大地丙太郎 著
2009年 講談社

アニメ監督による、絵コンテを使った演出本です。
半分くらいは体験と感覚による部分が占めていますが、
実際の絵コンテを使って説明している部分は非常に役に立つと思います。

絵コンテの初心者の読み物としては最適だと思いました。

東京の俳優

『東京の俳優』
柄本明 著
2008年 集英社

僕の好きな俳優、柄本明の語りを文章にした本です。

作品によってかっこよくも、いやらしくも、みずぼらしくも、堂々ともなれる俳優。
演技論、なんて評されると嫌いそうだけれど、俳優という職業について淡々と
語っていきます。
実は俳優なんて目指してなくて、サラリーマンをやって、
ある舞台を見て俳優を意識し始める。
それでも、本気で俳優を続けるつもりはなかった、という。

どこかで自分のことを冷めた目で見つめている人なんだと思います。

●セリフは覚えてうまいだろう、というんじゃなく、その意味を徹底的に考える。
●才能があるない、存在感があるない、などは意味が無い言葉だ。

など、彼独特の考えが読めます。
それでも、それが答えなんかじゃないとは思うけれど。

それでも俳優になりたい

『それでも俳優になりたい』
北川登園・大島幸久 著
2008年 春日出版

歌舞伎・新劇・現代劇・小劇場・ミュージカル・宝塚・シニア。
それぞれのジャンルについての俳優のあり方・成り方を解説しています。

本を読んでも、俳優という職業に華やかさを感じません。
「俳優」「役者」などと言い方にこだわりがある人が多いようです。

こんな言葉が残りました。
○俳優養成所に入るにしても、「俳優にしてもらえる」からではなく、
「俳優になる」という強い意識がなければ成功はおぼつかない。
○俳優には人間研究が欠かせない。

そう言えば、個人的に知ってる「いいな」と思える役者さん達も皆、
ストイックです。

黒沢清の映画術

『黒沢清の映画術』
黒沢清 著
2006年 新潮社

自主映画から始めて、日本を代表する映画監督になった著者の、
インタビュー対談集です。
タイトルは知識所のようですが、全編会話で貫かれてます。
なので、教科書的な本と言うよりは、
インタビューの中からニュアンスを感じ取る本だと言えるでしょう。

気になったか所をいくつか。

「商業映画は、観客が喜ぶものを作らないといけない。
 でも、通俗に徹するのは嫌だ」
「伊丹十三さんの映画は、1シーンが終わるたびに、句読点のような絵を入れる。」
など。

マスターショット2

『マスターショット2 [ダイアローグ編]』
クリストファー・ケンワーシー 著/ 吉田俊太郎 訳
2011年 フィルムアート社

この本は良書です。

様々な構図を100種類紹介した『マスターショット1』の続編で、
今度は『会話』にしぼって100種類の対話の撮り方を紹介します。

この『会話』の撮影って、どんな作品にも登場します。
でもね、どの作品でも似たようなアングル、
似たような切り返しのカットばかり。

自分の作品にも言えるのだけど、
意外と会話の撮影パターンを増やすのは難しいのです。

ヒッチコック『裏窓』ミステリの映画学

『ヒッチコック『裏窓』ミステリの映画学』
加藤 幹郎 著
2005年 みすず書房

「事件は無事解決、映画は大団円へ。
いや、男は本当に妻を殺害したのでしょうか?」

刺激的なコピー文に釣られて読みました。
『裏窓』という作品を分析し、
その裏に隠されたヒッチコックのメッセージや意図を読み取って行きます。

指摘は、ハッとさせられるもの。
シンプルなミステリと見ていた『裏窓』が、
実は主人公の結婚観、そして人生観から生み出された
“空想”“幻想”ではないかと分析します。

この著者の分析が正しいのかどうか、というのは
正直どうでもいいでしょう。

名作というのは、ここまで奥深いものになりえるということに
改めて感銘を受けることになりました。
翻って、
自分の作る作品は、果たしてどのくらいの奥行きがあるのか。

こういった本を読みながら、一度考えてみるのもいいでしょう。

デジタル・フィルムメイキング ─新しいプロフェッショナルとは何か


『デジタル・フィルムメイキング ─新しいプロフェッショナルとは何か』
マイク・フィギス 著/栗田 豊通/藤幡 正樹/桂 英史/村上 華子
2010年 フィルムアート社

もう、黙っていられないくらい素晴らしい本です!

『カルフ映画文庫』文句なしに認定です。

結論から言います。

1、2本映画を自分で作ったことがあって、
もっといろいろ知りたいな、レベルアップしたいな、という感じの人は、
迷わずこの本を買ってください。

共感できる部分が満載で、そして著者のアドバイスで
具体的にレベルアップできます。

借りるんじゃなく、買ってください。
線を引いておくべきことがすごく多いからです。

僕はページの右上を折り曲げていたら、ほとんどのページが対象になってしまいました。

何が素晴らしいか。
それは、映画作りのきれいごとだけを並べて「いない」からです。

読みながら何度も、「そうそう」と苦笑いするような本です。

僕は映画本をかなり読んでいる方だと自負していますが、
僕の言いたいことがほとんど書かれておらず、
日頃から不満に思っていました。

そのため、そのうち自分で本を出そうと息巻いていましたが、
この本を読んで、2割くらい気持ちが落ち着きました。
(残り8割は、やはり僕が書かねばならぬと思ってます。笑)

著者の映画監督マイク・フィギスは、
『リービング・ラスベガス』でアカデミー賞にノミネートされています。

デジタルでの映画作りに早くから興味を持ち、SONY のカメラを喜んで使い倒しています。
一眼レフでの映画撮影用の機材を探している時に見つけた、
フィグ・リグという車のハンドルのような機材は、マイク・フィギスの発明だそうでびっくり。

彼は、
「自分の想像する映像を作るために既成の機材をどんどんカスタマイズする」
と書いています。

それはそうかもしれない。

その他、気に入ったところをいくつかピックアップします。
※文字通り書き写すのではなく、少し僕の言葉で書き換えています。

●撮影教育には、カメラと多くの時間を過ごすことが一番。
自分のカメラは、どうすればどんな風に撮れるのかを身体で覚えるべき。

●撮影時は、液晶の小さな画面を見る時、
その先の、大きなスクリーンで上映する時のことを想定して確認しろ。

●映画は、いろんな人を励ましたり、やる気にさせて、
自分の思い描くビジョンを共有できるようにしないと完成しない。
コピーしたり、お茶を配ったり、そういったことも、誰かがやらないといけない。

●日頃からロケ地の候補となる場所を見つけるようにして過ごすこと。
→これ、そのうちメルマガで書こうと思っていた・・

●10人くらいの所帯でも、移動がすごく大変だ。
映画で一番悩ましいのは、人が多くなってしまうことと、荷物が多くなってしまうこと。
→こういうこと、映画作りの本に書いていないのだ。ほんと。

●監督の仕事は、スタッフ全員を引っ張っていくことだ。
アーティストになりきって仕事だけすればいいんじゃない。
自分でできなければ、代わりをやってくれる優秀な助監督を見つけないといけない。
→カルフはこれを助監督に任せてます。

●ビデオは、「フィルムじゃない」。
従来の照明技術というのは、「フィルム向け」に発達してきた。
ビデオカメラは、暗い環境でも感度よく撮影できる。
だから、何でもかんでも照らすようなやり方は変えるべきだ。
→もっとも感銘を受けた個所です。

・・・なんか、長くなりそうなので止めます。
これだけ書いても、ページを折った3分の1くらいです。

映画を作ったことが無く、でもすごい作品が作れる自信のある人、
つまり、

経験<<知識

この公式が当てはまる人は、この本はNGでしょう。
多分、この本を批判すると思います。

でも、実際に作っていて、理想と現実を知っている、
つまり、

経験>>知識

という人にはまさに最適な本です。

理想はもちろん、

経験≒知識

ですけどね。

アウトプット≒インプット

と置き換えることもできます。

最後に、本の帯にもついている言葉を書き写します。
これ、ほんと金言です。

『映画を“撮らない”理由を作るな』

いやあ、いい本に出会った。

ザ・オーディション

『ザ・オーディション』
マイケル ショトレフ 著/ 絹川 友梨 訳
2003年 フィルムアート社

俳優のための、オーディションに特化した本です。

主にブロードウェイでのオーディションについて書かれてあり、
どこまで日本のオーディションと同じなのかは分かりませんが、
参考にすべきポイントは多いと思います。

気になったところをいくつかピックアップします。

◎キャスティングの失敗は、才能ある俳優ではなく、イメージ通りに見える俳優を選んでしまうところから起こる。

◎審査員が俳優にがっかりすることの一つは、俳優が自分のことばかり考えていて、審査員の答えをほとんど聞いていないことである。

◎俳優が演出されたら、俳優がしたそれまでのことを投げ捨てるのではなく、付け加えるのだ。

◎俳優は台本のすべてを与えられるわけではない。だから一部分を読んで判断したことが間違っていても大したことではない。大事なことは、相手のキャラクターに対して、どういう感情を持っているかである。

◎たいていオーディション会場は裸舞台で行われる。俳優は架空の、自分のよく知っている場所を思い描いて演技するのだ。リアリティを創る助けになる。

◎役に選ばれなかったといって悩むことはない。俳優はベストを尽くすことだけを心配するべきだ。キャスティングは、バランスをとらなければならないから、ベストの俳優がそのバランスに合わない時もある。

演技のインターレッスン—映像ディレクターの俳優指導術

『演技のインターレッスン—映像ディレクターの俳優指導術』
ジュディス ウェストン 著/吉田 俊太郎 訳
2002年 フィルムアート社

これは良本です。
原題は『DIRECTING ACTORS』〜役者を演出するということ。
つまり、監督、演出家のための本なんです。

ひたすら、リザルト演出をしないこと、という内容を繰り返します。
リザルト(結果・結論)演出とは、どうしてほしいか、どう行動するかだけを演出するというもの。

「怒って」「セクシーに」といった形容詞ではなく、「相手を非難して」「抱きしめて」という動詞で指示を出す。
監督は、セリフの抑揚などについて指定するのではなく、そのセリフの意味目的をしっかりと説明すべき。

・・・などなど、監督をやる上での指針が多く書かれています。
これは、著者が役者出身、という背景が大きいのでしょう。