カテゴリー別アーカイブ: 05編集・音楽

Sound Design 映画を響かせる「音」のつくり方

『Sound Design 映画を響かせる「音」のつくり方』
デイヴィッド・ゾンネンシャイン 著/シカ・マッケンジー 翻訳
2015年 フィルムアート社

音楽ではなく、音の本です。効果音とか環境音について。
すごく緻密な本でした。

いくつか面白かった点をピックアップします。

・時として音は映像よりも強い力を持つ。
『ゴッドファーザー』で主人公がレストランで銃を撃つ際、電車が轟音を上げて走り去る。
しかしその電車は一切画面に映らない。

・シナリオを読んで、必要な音をピックアップする。
-人物や物体のアクション
-音がある環境
-登場人物や観客が体験する感情
-場面転換やストーリーの移り変わり

・ビジュアルマップ(ストーリーと音の流れ)、サウンドマップ(具体的な音、心情的な音、音楽、声を区別する)を作る。

・私たちが一度に認識できる音は2つまで。

・音によって空間のサイズを感じ取ることができる。

・脳は音を処理するのに時間がかかる。アクション映画でカットがどんどん速くなっても、それに合わせた音を入れると脳が追いつかない。

また、いろんな表があって興味深いです。

<感情の音表現表>
例)
嬉しさ=速い動き、協和音の多用
慈悲=低い音の繰り返し

<音楽ジャンルと感情>
例)
賛美歌=落ち着き、深い平穏
バロック=正確さ、秩序

撮影が終わった後、編集するときに役立つ本なので、こだわり派の監督さんが一人でじっくり取り組むのに向いてると思います。

映像編集者のリアル

『映像編集者のリアル』
2018年 玄光社

現役で映画やアニメの編集を担当する、
映像編集者のインタビュー集。

ちょっと珍しい本ですね。

監督と編集者の関係に始まり、
それぞれ何の編集ソフトを使っているのか、
またどうやって今の仕事に就いたかまで、
興味深く読みました。

ちなみに、共通した編集ソフトは、
Avid、Premiere Pro、Final Cut Pro。

最後に登場する、実際の編集ソフトの画面が新鮮でした。
他人の編集した画面を見ることってないですからね。

7人のインタビューからいくつか抜粋してみます。

・監督と編集マンは、気が合うかどうか。
映画はもちろん、音楽や漫画の嗜好が近いのは大きい。

・役者の心情が理解できなくて、なかなか編集方針が定まらないこともある。

・絵コンテ通りにつなげるだけと思われるけど、そのままつなげてもうまくいかないこともある。

・カットを削るだけでなく、足すこともある。間合いを伸ばしたり。

・組む監督によって編集スタイルが全然違う。
編集者に委ねてくれる監督と、委ねてくれない監督がいる。

・原作があっても読まないようにしている。結局、スクリーンに映ってるもので勝負しなきゃいけないから。

・まず自分の好きなようにつないでみて、監督の指示と答え合わせをする。

・気持ちの良い余韻や間は、監督によって個人差がすこくある。組む監督の感覚を探りながら進める。

・ぶっ続けで編集していると、ストーリーが分かってしまっているので、必要なところも削ってしまう。初めて見る人の視点に立たないといけない。

映像編集の教科書

『映像編集の教科書』
井上秀明 著
2007年 玄光社MOOK

★カルフ文庫認定!

ちょっと古い本だったので敬遠してましたが、
読んでいて驚きました。

これはすごい良本!!

一般的な映像編集の本って、
単に<機能の使い方>に終始している。
編集ソフトのマニュアル本と変わらない。

でもこの本は、編集者の視点から見た、
映像制作の本となっています。

●映像を編集するといっても、ただつなぐだけではない。
あらかじめ想定したテーマや目的を映像で伝えるために、必要なパーツを抜き出し、それを組み立てていく作業なのだ。

●ドキュメンタリーを作るときは、人間の相関図を作るといい。
何のテーマもなしに撮影し続けると収集がつかなくなる。

こんな、企画についての話から、

●使うのか使わないのかわからないショットは、よっぽど必要ないと感じた時以外は、撮影すべき。
●映像に必要なのは客観性。

なんていう撮影についてまで言及されています。

●こんなアングルで撮影しておくと編集でこんな効果が出るか。
●音楽をどんなタイミングでどう入れるとどんな効果が出るか。

という事例が、ふんだんなイラストで紹介されています。
絵コンテの本としても使えますね。
本書の半分以上が、イラストで占められているくらい。

確かに古い本なので、
「テープが無駄になる」みたいな表現もあります。
しかし、そんなのは頭の中で読み替えればいいこと。

映像編集のテクニックの基礎は、
時代が変わろうと、そんなに変化するものではありません。

<編集とはどういう作業なのか>
という知識が身につく本だと言えるでしょう。

※逆に、
「どの編集ソフトがいいのか」
「デジタルで音を調整する方法」
みたいなことは触れられていません。

映像編集入門

『映像編集入門』
岡村征夫 著
2010年 オーム社

ずばり入門書です。
編集の歴史から基本知識、編集のテクニックまで幅広くちょこっとずつ紹介していきます。

初期設定から各種フォーマットまで詳しく書かれていて、
良いなと思ったのは、WindowsとMacintoshそれぞれ、複数の編集ソフトを並列して解説していること。
なんと7つものソフトを紹介しています。

個人的には、映像編集の全体像を俯瞰するのに役立ちました。

映像から音を削る

『映像から音を削る』
武満徹 著
2011年 清流出版

映画音楽を数多く作ってきた作曲家、武満徹による映画音楽エッセイ集です。
ちょっと文体が高尚で、読んでいて居住まいを正す雰囲気がある本。
同じ映画音楽エッセイなら、以前紹介した久石譲のものの方が圧倒的に読みやすいでしょう。

誰にでもお薦めする本ではないけれど、面白く感じた部分を抜粋します。

○主題についてできるだけ思いをこらし、監督の感じているものを表現しようとつとめます。
私の音楽によって彼の様々な感覚を拡大しようとするわけですね。

○たった一本の映画のために、音楽をたくさん書きすぎますね。観客の今時メーションを十分に活用していない。

○ときに、無音のラッシュから、音楽や響きが聞こえてくることがある。見る側の創造力に激しく迫ってくる豊かな映像に対して、さらに音が腕厚化粧を施すのは良いことではないだろう。
観客の一人一人に、元々その映画に聞こえている純粋な響きを伝えるために、幾分それを助けるものとして音楽を入れる。
むしろ、私は映画に音楽を付け加えるというより、映画から音を削るということの方を大事に考えている。

彼は、ことあるごとに、映画が経済活動の悪影響を受けていることを憂い、音楽にかけられる時間の少なさを嘆いています。
著者の生きた時代は随分と前になってしまったが、状況は変わっていないのだろうと思います。

Adobe After Effects CS4 スタジオテクニック

『Adobe After Effects CS4 スタジオテクニック』
Mark Christiansen 著
2009年 株式会社ボーンデジタル

After Effectsは、映像の合成ソフトですね。
たまに聞かれますが、僕は使えません。使ったこともありません。

簡単な合成なら、普通の編集ソフトで可能です。
しかし、より高度な処理をするなら必要となってくるソフトです。

そこで、知識を補充するためにこの本を開きました。
ガイドブックとして読んでみたわけです。

ガイドブックって、2種類の使い方があると思います。
1)具体的な使い方を知る
2)どんなことができるのか、全体像を知る

今回は、2)の方で。
読んでみて、やはり僕は使わないかなと思いました。
必要になれば、プロに任せようと思います。

映画技法のリテラシー1

『映画技法のリテラシー1』
ルイス・ジアネッティ 著
堤和子・増田珠子・堤龍一郎 訳
2003年 フィルムアート社

映画の構図、映像の技術について、実際の映画作品を例にとり、
これでもか、とたっぷり見せてくれる本です。

撮影、構図、編集、サウンドや演技まで、映像にかかわるあらゆる角度から解説していきます。
でも、これは危険な本ですね。
映画を撮ってない人は、こういったテクニックにすごく惹かれるもの。
でも、テクニックを使おうとして作る作品は鼻につく。

映画の用語辞典としても使えます。
個人的には、ミザンセヌという言葉がかっこいいと思いました。
フランス語で、ある空間での小道具の配置やアクションの演出をすること、だそうです。

映画もまた編集である

『映画もまた編集である』
マイケル・オンダーチェ 著/吉田俊太郎 訳
2011年 みすず書房

★カルフ文庫認定!!

ずっと前から本屋に平積みになってて知っていたのだけど、
分厚くて重い本なので、敬遠してました。
しかしこれは良本!

編集の本って、テクニックの羅列紹介の本が多いけれど、
これは編集一筋のプロの考え方を対談で紹介していく形式で書かれています。

編集と言えば映像のつなぎのこと。
・・・だけだと思ってしまいがちだけど、
かなりの割合で、サウンドの重要性も説いていきます。
いやむしろ、サウンド編集の本、と言った方がいいかもしれない。

目から鱗のネタが多かったので、その一部をご紹介します。

●映像素材にどう向き合うか、どんな構成でアプローチするかを決める。
決まらないときは後回しにして先に進む。
だから他の編集者と共同作業の時は大変。
他の編集者が何を考えてどうアプローチしているかを探っていく作業も必要。

●編集者は撮影現場に立ち会わないようにしている。
撮影で寒かったとか誰と誰が惚れた喧嘩しただとかの情報は編集作業に悪影響を及ぼす。

●セリフやサウンドで空間を作れる。
普段聞こえない小さな虫の声などを大きく入れることで、その場を強調できる。

●映画編集におけるつなぎのパターンは、登場している人物の思考パターンを反映したものと考えている。
つまり、登場人物の瞬きでカットすれば、より自然なつながりを実現出来ると考える。

本の一部ですが、自分の編集の考え方をつついてくるようなネタが満載です。
分厚い分厚いと言いつつ、1日で一気に読んじゃいました。

ただ、一つだけ大きな注意点が。
まだ映画を作ったことがない人は読まないこと。
必ず、1本以上作ったことがある人だけ読んでください。
作ったことがない人は、頭でっかちになり、さらに作るのが先に延びてしまいます。
初めての人は、こんな本を読まず、とにかく手を動かしてみることを優先すべし!

逆引き Premiere Elements 7

『逆引き Premiere Elements 7』
勝田有一朗 著
2009年 工学社

ちょっと古いので、この本自体をお勧めするわけではありません。
こういった、編集ソフト本の読み方、という視点で書きます。

編集ソフト本は2つの読み方があると思います。
一つは当然のごとく「辞書」としての役割。
もう一つは、ソフトを使い始める前に、ざっと目を通して、
「このソフトでどんなことができるのか」を一通り知っておく、ということ。

プレミアエレメンツは、普段使うソフトではないため、
一通り目を通すことで機能について詳しくなりました。

映像系 Photoshop

『映像系 Photoshop』
ワークスコーポレーション別冊・書籍編集部 編
2009年 ワークスコーポレーション

画像加工ソフトの代表Photoshopを、映像編集のために使う解説書です。
画像加工やCG合成を扱っているので、経験者や上級者向け。

正直、僕には必要ない知識がいっぱいでしたが、
このソフトがあればこのくらいのことができるのだ、
ということを知っておくのは損は無いと思います。

技術本なのに、面白い記述がありました。

「操作法がどうとかフィルタがどうとかそんなことはあまり問題ではありません。
自分が作ろうとしているものをきちんと自分の頭でイメージできているか、
ということがもっとも重要なわけです。
何もイメージがないということは、形にしたいものがないわけですから、
いくらツールが使えても意味がありません。」

同感です。