カテゴリー別アーカイブ: シナリオ

宮崎アニメは、なぜ当たる

『宮崎アニメは、なぜ当たる』
斉藤守彦 著
2008年 朝日新書

映画業界紙のライターが、宮崎駿とスピルバーグの映画について
20年に渡る作品の宣伝・ヒットの比較をしていきます。
その時代時代のことを思い出しながら読めました。

それぞれの作品を、どういう意図でどう宣伝するか。
そしてどんな動員結果だったのか。
それぞれの巨匠の映画の生み出し方まで触れていてなかなか濃い。

一つの作品だけ見るなら、その時代のヒットの要因分析になるけれど、
20年間の年月、作品を生み出し続けている両監督は、
時代のうねりを泳いでいるように感じました。

ホラー映画の書き方

『ホラー映画の書き方』
デヴィン・ワトソン 著・廣木明子 訳
2012年 フィルムアート社

ホラー映画の脚本家が語る、ホラー脚本の書き方指南書です。
脚本の骨子というより、ホラー映画特有の作り込みについて書かれていて非常に面白い。

「見せろ、語るな。」これがホラーの合い言葉らしいのです。
恐怖の種類にもいろいろあって、なるほどと納得。

最初にすぐ殺される、使い捨てのキャラクターが登場するのもホラーの特徴とのこと。
彼らは、ストーリーのプロットを確立し、あるいは進展させるために存在する。

著者は、書き手自身の恐怖を、なぜそれが怖いのかをリストにすることを薦めます。
その個人的な感覚こそが、ホラーを生み出すのだと。
読み終わって、なんだか、ホラーを書きたくなってきました。

いきなりドラマを面白くするシナリオ錬金術

『いきなりドラマを面白くするシナリオ錬金術』
浅田直亮 著・西純子 イラスト
2011年 言視舎

シナリオをおもしろくするためのいろんな方法を、分かりやすく解説する本です。
セリフは短いものがいいとか、意外な設定はこう考える、など、
かなり具体的なコツがふんだんにつまってます。

実際の映画やドラマ(新しいのが多いのがいい!)を使って説明しているので、
かなり親近感がわきます。

初心者にすごくぴったりな本だけど、シナリオを書く前に読むのではなく、
一度書いたものを推敲して、改善するために使える本ですね。

ドラマ脚本の書き方 映像ドラマとオーディオドラマ

『ドラマ脚本の書き方 映像ドラマとオーディオドラマ』
森治美 著
2008年新水社

シナリオの書き方について、映像ドラマとオーディオドラマに分けて解説する本です。
細かいフォーマットについて詳しくまとめてあるので、知りたい方にはぴったり。
個人的にはオーディオドラマが非常に面白かったです。
これはこれで、映像ドラマとはひと味違う。

例えば、場所や季節、時間を、音と音楽とセリフで表現しなければならない。
耳で聞いて区別しにくい名前もダメ。
好きなのに嫌い、と言った、感情表現も演技ではなくセリフでカバーする。
場面転換も工夫が必要。
マイクの位置で、登場人物の位置関係や距離感を表現する、といった具体。

最後に同じ脚本を映像ドラマ版とオーディオドラマ版で比較するところが面白かった。

物語の作り方

『物語の作り方 ガルシア=マルケスのシナリオ教室』
G.ガルシア=マルケス 著/木村栄一 訳
2002年 岩波書店

『百年の孤独』で有名な作家が、彼と仲間たちで映像化するためのシナリオを
あれこれ話し合う会議の模様を文字に起こした本です。

これはなかなか面白いですよ。
最初に思いついたアイデアやストーリーを、それぞれが
こうしたらいいああしたらいいと、どんどん形作っていきます。

●物語の最初に、これから始まるジャンルを明確にすることで、
観客は自分の気持ちの置き所を見つける。
●観客は、想像以上にストーリーを理解してくれない。
だから、徹底的にわかり易くするべき。

など、参考になる記述が盛りだくさんです。

そうだ小説を書こう

『そうだ小説を書こう』
山本甲士 著
2012年 小学館文庫

小説の中の登場人物が、小説を書こうと思い立ち、
先輩作家にアドバイスをもらいながらレベルアップしていく、という『小説』です。

主人公が書く短編小説も、途中途中に挿入されるのが面白い。
それを、どこがダメなのか、を解説していく。

最初はつたなかった作品が、どんどんうまくなり、
最後の小説は、鳥肌が立つほど感動しました。
さらりと読めるけれど、、これは立派な小説の書き方指南書です。
映画のストーリーづくりにも、当然役に立つと思います。

シナリオを書きたい人の本

『シナリオを書きたい人の本』

芦沢俊郎 著
2010年 成美堂出版

これはまさしく、シナリオを書きたい人のための本だと思います。
3人の「プロになるまで」インタビューに始まり、著者による基礎講座。
プロになるための心得として、プロへの道すじ、苦労するであろう点、
続けていくためには、と続きます。

面白いのは、日本の昔話を題材に、それをシナリオに落とし込んでいっている指導法。
『浦島太郎』と『桃太郎』を取り上げます。
著者がずいぶんと新しい解釈でストーリーを展開していますが、これが面白い。
こういうのを読むと、プロはすごいんだ、とつくづく感じます。

おなじみのストーリーが変貌するさまを見せる、本の後半を読むだけでも
価値のある一冊です。

脚本(シナリオ)通りにはいかない!

『脚本(シナリオ)通りにはいかない!』
君塚良一 著
2002年 キネマ旬報社

『踊る大捜査線』で有名な君塚良一氏のシナリオ講座本です。
シナリオの基礎、というより、1回2回書いたことがある人が読むと、
非常に得るものが多いでしょう。

「感情移入できる主人公と、自己投影できる周囲の登場人物。
この配置がうまくできている脚本が多くの観客の共感を呼ぶのかもしれない。」
これは参考になるアドバイスです。

さらに、非常に共感した言葉を紹介します。
僭越ながら、僕がセミナーでいつも言ってることと合致する言葉です。
「マーケティングを踏まえて書かねばならないし、監督やプロデューサーとの作業も必要だ。
それでも、自分の好きなものを好きな世界観で書くのだという意思を優先すべきだ。
テレビドラマや映画を作ったりするのは、自分の趣味嗜好の発表の場なのだ。
それでいいのだ。作り手は、このわがままな幸福を手放すことはない。」

今日からシナリオを書くという生き方

『今日からシナリオを書くという生き方』
小林幸恵 著
2008年 彩流社

シナリオライター新井一氏の娘さんによる、
団塊世代に「シナリオを書こう」と語りかける本です。

ト書きは「丸太ん棒で書け」と言われているらしく、
芸術的な表現力で書くのではなく、ただ見たままを記すということだそうです。
だから、芸術的才能が無くてもシナリオは書ける、と。

次のエピソードが面白かったです。
姑が短篇で嫁の悪口を書こうとした。しかし、シナリオは登場人物の気持ちに
なって第三者の目でセリフを考えるもの。
その姑が書くお嫁さんキャラは、次第にいい人になっていったという。

ゼロからの脚本術 10人の映画監督・脚本家のプロット論

『ゼロからの脚本術 10人の映画監督・脚本家のプロット論』
泊貴洋 著
2010年 誠文堂新光社

ゼロから、というのは何もないところから創作する過程、
という意味であり、初心者のための本ではないのが注意が必要です。

初心者はおそらく、読んでも混乱するだけだと思う。
結局、人によって違うんだなあ、ということが分かるから、です。

個人的にはなるほどと思った言葉は次の通り。

○脚本家・高橋泉
「巻き込まれるだけの受動的な人は主人公に向かない。
 能動的な人物に変えなきゃいけない。」
「原作があると難しい。マンガは、そのイラストの世界観の上での
 セリフだから、映画化したらその映像に合わせたセリフにする必要がある。」
○行定勲監督
「脚本は突き詰めておくけれども、現場で一度リセットされる。
 撮った素材をもとに、編集段階でもう一度バラバラに解体される。
 (中略)映画は3回生まれて2回死んでるんです。観客に届くまでに」
○内田けんじ監督
「脚本は誰も読んでくれない。だから映画にしてしまうといい。」