黒澤明の作劇術


『黒澤明の作劇術』
古山 敏幸 著
2008年 フィルムアート社

黒澤明について、また彼の一連の作品についての本は山のようにありますが、
たいていそれらは、黒澤明を崇めたてまつる内容になっています。
しかしこの本は、良くも悪くも冷めた目で黒澤明の映画についてつづっています。

何しろ、『私が見た黒澤明は、怖い人でも強い人でもなく、
青二才の批判にもむきになって反論しようと試みて傷つく
繊細で痛々しい老人だった』と言い切るのです。

著者は脚本を書くため、黒澤作品の脚本とそのアプローチについてまとめています。
黒澤明は脚本共作システム、つまり脚本の共同執筆というのをとっていて、
そうすることで、客観性=「複眼」が得られる。
一人で書くより複数で書いた方が、どこから突かれてもビクともしない脚本ができあがる、
といった内容です。
これは確かに、参考になります。
しかし同時に、共同執筆者との連携の難しさについても触れているわけで、
ここでもコミュニケーションにかかるわけだな、と思いました。