映像から音を削る

『映像から音を削る』
武満徹 著
2011年 清流出版

映画音楽を数多く作ってきた作曲家、武満徹による映画音楽エッセイ集です。
ちょっと文体が高尚で、読んでいて居住まいを正す雰囲気がある本。
同じ映画音楽エッセイなら、以前紹介した久石譲のものの方が圧倒的に読みやすいでしょう。

誰にでもお薦めする本ではないけれど、面白く感じた部分を抜粋します。

○主題についてできるだけ思いをこらし、監督の感じているものを表現しようとつとめます。
私の音楽によって彼の様々な感覚を拡大しようとするわけですね。

○たった一本の映画のために、音楽をたくさん書きすぎますね。観客の今時メーションを十分に活用していない。

○ときに、無音のラッシュから、音楽や響きが聞こえてくることがある。見る側の創造力に激しく迫ってくる豊かな映像に対して、さらに音が腕厚化粧を施すのは良いことではないだろう。
観客の一人一人に、元々その映画に聞こえている純粋な響きを伝えるために、幾分それを助けるものとして音楽を入れる。
むしろ、私は映画に音楽を付け加えるというより、映画から音を削るということの方を大事に考えている。

彼は、ことあるごとに、映画が経済活動の悪影響を受けていることを憂い、音楽にかけられる時間の少なさを嘆いています。
著者の生きた時代は随分と前になってしまったが、状況は変わっていないのだろうと思います。