ジェームス三木のドラマと人生

『ジェームス三木のドラマと人生』
ジェームス三木 著
2008年 社会評論社

脚本家、ジェームス三木のエッセイと脚本論と半生記。
脚本についてなるほど、と思うところは前半に集中してます。

○脚本家としての私は、言葉の伝達をなるべく正確にしたい。一つのヒントは、なるべく短い言葉で表現すること。
このシーンは重要だから、言葉をたくさん使って書こう。心理描写、性格描写を丹念に書き込もう。
こう考えるとだいたい失敗する。たくさん書くと焦点がぼけるのだ。

○実は脚本家は、文才のある人より数学のできる人が向いている。

○「ドラマは数学である」野村芳太郎監督はそう教えてくれた。ムダな登場人物は一人も要らない、なくてもいい場面は、あってはならないと。
その後私は、極意を体得した。ドラマノ構成は、場面と場面、人物と人物、要素と要素が、掛け算になっていなければならない。足し算にしかならない部分は、全てオミットする。

○ドラマの脚本も、さまざまな制約がある方が、すんなり書ける。
製作予算が決まっていて、俳優のスケジュールがタイトで、しかもスポンサーの要求が厳しく、締切が目前に迫っていれば、選択肢は自ずから限定される。
えーいとばかりに書きまくるしかない。
「締め切りはありません。予算は無制限です」と言われると、たぶん途方に暮れる。
選択肢が多すぎて、何をどう描けばいいのか、あれやこれやと手がかりを探すうちに、焦点がぼやけて、駄作に終わりかねない。

○「セリフと感情とは、一致しないのが面白いんだよ。人間的なんだよ」
ダメな役者は、セリフ=感情、と思い込んでいる。だから演技が平べったくなる。