ドキュメンタリーを作る2.0 スマホ時代の映像制作

01企画・準備

『ドキュメンタリーを作る2.0 スマホ時代の映像制作』
山登義明 著
2016年 京都大学学術出版会

はじめてドキュメンタリーを撮ってみたいという人には格好の教科書となる本だと思いました。

大学の先生が、初めてドキュメンタリーを作る生徒に教える授業の内容を解説していて、
企画を考えるところから完成まで、ステップバイステップで追うことができます。

生徒たちから挙がった企画を、著者がプロデューサーの立場で、合格・不合格を決めていくところが特に興味深かったですね。
アイデアはいいけれど不合格にしたりする。それはなぜか、が役に立つ。

面白いと思った部分をピックアップすると・・

・発想はユニークでも、映像より文章での表現に適したものもある。
・抽象的なテーマは、番組という観点から見ると、インタビューでだけで構成された、アクションが少ない単調な番組におちいりやすい。
・映像表現の面白さに心を奪われる。映像独特の表現を駆使するためには、ノンフィクションからフィクションに近づきたくなる。しかし、表現される情報の内容がどんどん薄くなっていく。
・主人公をモノではなく人間とすることが企画をまとめるときのコツ。
・企画を立てるときは、ヒト・ウゴキ・ジダイの3つの視点からアプローチする。
・純粋なドキュメンタリースタイルでは、シャッターチャンスを待つといったある程度の時間が必要。
・映画はどの大人数の作業であればそれぞれ専門職が担当するが、テレビの場合はたいていの雑務は現場監督であるディレクターの仕事になる。

本作では、撮影はスマートフォン、編集はパソコンで行っています。
使われていた編集ソフトはWindowsムービーメーカーで、今は開発が終了しており使えません。

撮影は、スマホ2台で画角を変えて撮り、音声は別のスマホで対象に近づけて録る、という手法が紹介されていました。
複数人で協力して作る場合は、とても有効だと思います。

自主映画の監督とは、いわゆる商業映画の監督よりも、テレビ番組のディレクターに近い存在なのだなとつくづく思いました。

[注]
本書には、下記の前バージョンがあります。
両方読みましたが、この前作に「第8章 スマホドキュメンタリーに挑戦」を加えたものが本書である、と考えていいと思います。

『ドキュメンタリーを作る』
山登義明 著
2006年 京都大学学術出版会

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