映画美術に賭けた男

『映画美術に賭けた男』
中村公彦 著
2001年 草思社

舞台美術から映画の世界に飛び込んだ著者の、映画美術論です。
大正生まれの方なので、話は全般的に古いけれど、
映画全盛期に活躍してきた話は非常に面白い。

●ミニチュアを作って景色を再現する時も、向こうに行くほど縮尺を変えて距離感が出るように工夫する。
●舞台美術においては絵画的要素:建築的な要素が6.5:3.5。一方で映画美術においては、逆。
映画美術に建築が重要なことは確かで、勉強は独学。
●古い町並みを再現する時も、昔の地図を片手に歩き回って時代考証をする。するとイメージがわいてくる。
●映画美術は、建築家がやればいいというものでもない。どこにカメラを置くか、移動スペースをどう取るかなども考える。
インテリアデザイナーとは違う点で勝負する。

その他、日本映画が元気がよかった時代にアジアに進出しておけばよかったのだ、と苦言を呈します。
香港映画は、それをした、と。

そして、予算の関係で映画美術も縮小傾向にあること、後継者が育たないことなども憂いています。