書きたい人のためのミステリ入門


『書きたい人のためのミステリ入門』
新井久幸 著
2020年 新潮社

僕はミステリ(推理小説と言った方が分かりやすい?)が大好きです。
著者は、長年、新人賞の下読みをしてきた人物。
下読みとは、応募作を読んで候補に残すものを選ぶ人で、つまり「プロじゃない人がやりがちなこと」に詳しいということ。
「惜しいなあ、もっと面白くできたはずなのに」と感じることが多いというのです。
ミステリ好きとして読みましたが、これは自主映画づくりにも通ずることが多く、紹介することにしました。

いくつか抜粋します。

・最初に「もうちょっと読むと、こういう事件が起きますよ」という「引き」「つかみ」を作る。
これが印象づけられれば、読者はしばらく作品に付き合ってくれる。

・謎がなければ始まらない。これは「どうなるの?」がないとストーリーが始まらないということ。

・大事なエピソードは、映像的に印象付けないと覚えてもらえない。

・「凄い絵だ」とか一言も書かず、読んだ人間に「凄い絵」だと思わせなきゃダメなんだ。

・応募作の感想で「話が一本長子」というのが多い。物語に起伏がないということ。最後まで読ませるには工夫が必要。

・せっかく書いたのだからと、削るのを渋るのは書き初めにはよくあることだが、プロの中には「書いたけれどうまくいかないので捨てた」と書いたものを捨てる人がいる。
彼らはそれが無駄だったとは思っていない。「書いたから、それが無駄だと分かった。だから良かった」と考えている。

著者は、「プロになりたい人」へのアドバイスも行っています。
これも映画作りにそのまま置き換えられます。

・デビューするために、「食わず嫌いせずに何でも読む」「全てがネタになる(社会経験をしておく)」「とにかく最後まで書き切る」

ー原稿に正解はない
ー「傾向と対策」はない
ー必ず第三者の目を入れる
ー一番大事なのは、「改稿力」
ー推敲の基本は、削ること

・「小説家になるにはどうしたらいいですか?」という相談を受けることがある。
そのとき必ず確認するのは、「小説を書きたいのですか?」それとも「小説家とうい肩書きが欲しいのですか?」ということだ。
小説を書きたい、という純粋な欲求だけなら、なにもデビューする必要はない。

僕が一番気に入ったのはここです。

・完全なオリジナリティなどあり得ない。しかし、自分は何故この話が好きなのか、嫌いなのか。なぜこの人物が好きなのか嫌いなのか・・・そういった、日々の自問自答の蓄積こそが、「自分だったら」というオリジナリティを、知らぬ間に育んでいくのではないだろうか。