『ストーリーのつくりかたとひろげかた』
イシイジロウ 著
2021年 星海社新書
興味深い本でした。
この本は、次の3つの特徴があると思います。
1:日本人による比較的現代のシナリオ論
2:三幕理論、起承転結などの基本的なテクニックを俯瞰的に扱っている
3:映画にとらわれず、ゲームやアニメ、演劇など他ジャンルも横断的に解説している
前半は、様々なシナリオ理論を俯瞰的に解説しているので、
知らない人も知っている人も楽しんで読めると思います。
僕なりに発見もありました。
一方で、後半のゲームの世界は、
僕が何一つやっていないこともありちょっと難解でした。
ただ僕が感じたのは、映画なら映画だけ考えていればいい、
という時代じゃないな、ということです。
いわゆる、従来の長編映画というスタイルは、
無くなることはないにしても、
創作表現の一部に過ぎなくなると感じています。
それだけ、新しい表現、
そして人々が夢中になる幅がどんどん広がっている。
これは、映画なんてダメだ、ということではなく、
映画のノウハウを使って別のことにトライするのも面白いんじゃないかと僕は捉えています。
実際、僕は映画制作で映像との付き合いが始まりましたが、
今はかなり横断的な仕事をたくさんいただいています。
これは、僕が映像・IT・マーケティングという
複数の業界で仕事をしてきたからだと分析します。
最後に、著者なりのクリエイターの未来予想図の話も出てきます。
どうなるかは分からないとしながらも、
「クリエイターは変化しなければならない」
という言葉で締められているのはとても身が引き締まる思いでした。
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