映像プロフェッショナル入門


『映像プロフェッショナル入門』
安藤紘平 著
2004年 フィルムアート社

映像業界で長く仕事をし、現在は大学の教授を務める著者の映像の専門書です。

教授をやられているからか、授業のような内容と構成だと感じました。
古典映画はもちろん、比較的最近の邦画や、CGやバーチャル世界についても幅広く触れられています。

実際の映画の説明が大量に登場するが、絵コンテ風にまとめなおしていることで、理解もしやすくなっていると思います。
個人的には、演出にまつわる話が読んでいて面白かったです。
いくつか抜粋します。

・人間の知覚は先入観や記憶に左右されやすい曖昧なもの。
映像表現はその曖昧な知覚の上に成り立っている。

例えば、錯覚や錯視もそう。平面でも立体に見えたりする。

・シナリオは文学ではない。映像化されて初めて、真価が問われる。

・演出指導における俳優と演出家の関係は、籠をかつぐ先棒と後棒の関係に似ている。
先が俳優、後が演出家。先の俳優からは、演出家の姿が見えない。だから、演出家は俳優に語りかけなきゃいけない。
進む方向やスピード、ペース、ニュアンスを伝えないと息が合わない。

・演技指導には二通りある。やってみせるか、言葉で説明するか。
どちらにも限界がある。
抽象的なニュアンスや心理は、できるだけ”イメージを伴ったニュアンス”をもって感じ取ってもらわないといけない。

「俳優の個性を引き出すにはどうしたらいいのでしょうか」など、Q&Aが大量に収録されているのも読み応えがあります。
僕自身も、まだまだ知らない専門用語がいっぱいあるなと感じました。

すでに何本か撮っている人が、気になるところをめくって読んだり、全体を通して映像についての理解を深めたりするのに適した本だと思います。