『filmmaker’s eye 映画のシーンに学ぶ構図と撮影術:原則とその破り方』
ブスタボ・メルカード 著
2013年 ボーンデジタル
映像によるストーリーテリングの基本を、75本を超える名画と25種類の構図で解説した本です。
紹介される撮り方そのものに大きな驚きはありませんが、一つ一つを見ていくと奥が深い。
映像を撮る上で、カメラの位置、動かすかどうか、何を入れるか外すかなど、監督が判断する要素の多さに改めて気づかされました。
例えば、こんな表現があります。
「ミディアムロングショットは、キャラクターのボディランゲージ、そして周囲を同時に見せるのに理想的です」
「映画の構図の原則は絶対的なものではない。原則には驚くほど柔軟性があり、適切だと判断できれば覆しても構いません」
「そのショットに対して真の共感を得るためには、作り手自身のビジョンが明確に反映させていかんければならない」
「物語の裏にあるコアテーマが明確になれば、このアイデアを後押しするという目的に沿って、一つ一つの各ショットの構図に反映させていく」
面白い一方で、専門用語の洪水に「頭でっかち」になりかねない危うさも感じます。
言葉そのものよりも、「自分は何が好きか」という感覚を育てることが作家性につながるのだと感じました。
知識にとらわれるより、自分の好きな映像表現を探していく。
そんな学びを得た一冊です。
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