『スクリプターはストリッパーではありません』
白鳥あかね 著
2014年 国書刊行会
長年スクリプターとして映画業界で活躍してきた著者による回想録です。
フィルムの話が多いため、今の自主映画でそのままマネするかというと少し違うとは思いますが、昭和映画史のメイキングとか裏話が好きな人のためのページが大半。
写真も多く、ミーハーな方は楽しめる本ですね。
いくつか内容から抜粋を。
・スクリプターの仕事というのは記録することだけじゃなくて、監督にとっての最良のアドバイザーであること。
・監督はせっかちだから、自分がOKだと思うとすぐOKと口にするが、ゆっくり3つカウントしてからカットをかけるといい。編集上、余裕が欲しい時があるから。
また、映画産業が斜陽になり、映画で残るかテレビに行くかで悩む話があって興味深かった。
「私はテレビ向きじゃないと思った。茶の間でご飯を食べるシーンで主人公の性格からしてこんな茶碗は使わない、とか道具さんに言ったら、そんなことやってたらいつまで経っても撮り終わらないぞ、と」
「日活がロマンポルノ路線になることで、ベテラン監督が一斉に辞めていった。監督室に上から60人くらい入社順に札が並んでる。その札のおしりの人はあと十年くらい待たないと監督になれなかった。それが、その人たちにチャンスが舞い込んだ」
「ロマンポルノでは、現場で録音がなかった。音があるとその分、時間がかかる。ロマンポルノでは録音部の人件費、機材、時間をカットして、後から音を録る」
タイトルはダジャレとして滑ってると最初思ったけれど、実はちょっと面白くハートフルなエピソードで実際に言われた言葉だと分かります。