『日本のドキュメンタリー』
佐藤忠男 著
2009年 岩波書店
戦前戦後を通して、ドキュメンタリー映画の歴史と現在をまとめた本。
DVDが付いていて、実際の映像も少し観ることができます。
歴史としては知らないことが多かったが、最初はプロバガンダとして使われていた、というのは想像に難くないですね。
社会派、私的ドキュメンタリー、産業・科学映画、などと分類されるのは新鮮でした。
気になった点をいくつかピックアップします。
○ドキュメンタリーは重くて暗い、という印象を抱かれてしまいそうだ。それはドキュメンタリーのせいではなく、現実そのものが難題や課題をうんざりするほど抱えているからなのだが、しかし、渦中の人達は決して暗いわけではない。当たり前のことだが、人間はそんな息苦しいことばかりではいきていけない。
○撮影の際は、被写体の日常に入り込む時は気をつかう。
どこからでも撮影できるように、明かりをそのまま生かし、電球を明るいものに変えてゆく。
○カメラは小さく、圧迫感をあたえないものを使う。
○ワイコンを使い、対象に肉薄した映像を撮る。
○常に臨戦態勢。狙っているものに出くわしたら、即カメラを回せ。
カメラを回しながら、絞りやレンズを決めればいい。遠ければ走って近づけ。
○対象の感情の揺れを撮るには、仕掛けてでも撮れ。