『映像編集の教科書』
井上秀明 著
2007年 玄光社MOOK
★カルフ文庫認定!
ちょっと古い本だったので敬遠してましたが、
読んでいて驚きました。
これはすごい良本!!
一般的な映像編集の本って、
単に<機能の使い方>に終始している。
編集ソフトのマニュアル本と変わらない。
でもこの本は、編集者の視点から見た、
映像制作の本となっています。
●映像を編集するといっても、ただつなぐだけではない。
あらかじめ想定したテーマや目的を映像で伝えるために、必要なパーツを抜き出し、それを組み立てていく作業なのだ。
●ドキュメンタリーを作るときは、人間の相関図を作るといい。
何のテーマもなしに撮影し続けると収集がつかなくなる。
こんな、企画についての話から、
●使うのか使わないのかわからないショットは、よっぽど必要ないと感じた時以外は、撮影すべき。
●映像に必要なのは客観性。
なんていう撮影についてまで言及されています。
●こんなアングルで撮影しておくと編集でこんな効果が出るか。
●音楽をどんなタイミングでどう入れるとどんな効果が出るか。
という事例が、ふんだんなイラストで紹介されています。
絵コンテの本としても使えますね。
本書の半分以上が、イラストで占められているくらい。
確かに古い本なので、
「テープが無駄になる」みたいな表現もあります。
しかし、そんなのは頭の中で読み替えればいいこと。
映像編集のテクニックの基礎は、
時代が変わろうと、そんなに変化するものではありません。
<編集とはどういう作業なのか>
という知識が身につく本だと言えるでしょう。
※逆に、
「どの編集ソフトがいいのか」
「デジタルで音を調整する方法」
みたいなことは触れられていません。