『新 演技の基礎のキソ』
藤崎周平 著
2013年 主婦の友社
講師が12名の受講生と対話する形式で読み進められる、俳優のための演技術です。
僕は監督としての立場から読みました。
いくつか面白いと思った箇所を抜粋。
- 舞台を見ていて、アドリブだ、と感じることがあるでしょう。これは、他の部分がアドリブではないからそう感じる。
- 初めて会った人が、息を吐いているかどうかをチェックする。
- 街をイヤホンをして歩いてる人がいる。その人は周りの人と違って見える。聴覚情報に差があるから。
役者も、その場に「いる」かどうかは、耳をどう使っているかと関係がある。 - 言葉をつたえようとすると、話はわかるけれど、ただ頑張ってる人がそこにいるだけの状況になる。
頑張ろうとかよく見せたいとか顕示欲が低くなると、その人らしさが出てくる。 - 声は、目上の人に会う時は声が高くなる。
身体の緊張と声は連動し、相手との距離にも関係がある。 - 感情を伝えることと、感情的に喋ることは違う。役者は感情を伝える。
- 話すスピードとは息継ぎの関係がある。
- 声を出す時、気持ちや大きさよりも、タイミングとか音の高さを意識する方がいいことも。
- 演じようとすると、芝居的な話し方になってしまう。
読みながら、演技とはなかなかややこしいものだ、と改めて思いました。笑
同時に、自主映画の監督は果たしてここまで演技のことを考えているんだろうか、とも。
監督は機材とか衣装とか、ロケ地のことばかり気にして、役者の演出はどこかないがしろにされがち。
たいてい、役者には脚本を渡すだけで、撮影当日、やってみてもらってそれですぐにOKを出す。
これだけ。
だからこそ、演技で気に入らないことがあったとき、少しでも的確な指示が出せるよう、監督こそ演技論の本はいっぱい読んでおくべき、というのが僕の持論です。