『一枚の絵でストーリーを伝える方法』
大津卓也 砂糖ふくろう
2023年 翔泳社
ストーリーボードアーティストとして活動する著者による、
ビジュアルストーリーテリングの解説本。
表紙の絵のタッチから、てっきり海外の著者だと思ったら日本人。
しかし読んでみると、ハリウッドスタイルだというので納得しました。
映画を作りたい人の絵コンテや撮影計画に役立つ本です。
いいなと思った点をピックアップしてみます。
・体の動きを表現する際、一本の大まかな線(ラインオブアクション)を見つける。
・重心を意識して描く。腰のあたりの重心を支えられているか。
・手前の絵は太く、背後の絵で細い線で描くと奥行きが出る。
・金属やガラスはまっすぐな線で、布製品やどうぶつはざらざらの柔らかい線で描くと質感が出せる。
・パースとカメラワークの関係:
アイレベルは視点の高さ=カメラ位置。
アイレベルが地面すれすれの場合、足が水平線とそろう。
アイレベルが役者の腰の場合、腰が水平線とそろう。
アイレベルが役者の目の場合、顔が水平線とそろう。
・広角レンズで撮ると、手前のものがより大きく、奥のものがより小さく映る(描く)。
・ストーリーのある絵を描くための4つの流れ
1)アイデアの着想と整理
2)リサーチ、資料収集
3)ラフスケッチ
4)清書
著者は、カフェで観察することを勧めています。
リラックスしている感じはこのポーズのどこから感じられるのか。
あの人はカフェで靴を半分脱いでるな、とか。
持ち物や格好から、今、どこから来たのか、これから何をしようとしているのか、を観察する。
アイデアをカテゴリに分けて整理していく方法なども具体的でおもしろい。
本書は、絵の描き方、の本ではありません。
絵でストーリーを表現する本、です。
「伝えようとしていることは何か?」
「それを見せる一番いい方法は何か?」
これを繰り返し問いかけながら表現していく。
最後のお題とサンプル集がいいですね。
いかに絵というものが「言葉で解説できるのか」がわかる部分です。
ぜひ、イラストを見ながら読んでみてください。