『動画生成AIではじめよう 映画・映像制作』
中澤 太翔 著
2026年 オーム社
AIを使って制作した映画が、海外で数々の賞を獲った著者による、AI映画制作の本です。
現在、似たようなタイトルの本はいくつかあり、すべてチェックしてきました。
正直、本書も単にAI生成ハウツー(プロンプトとか)ばかりと思ってましたが、もっと広くAI映像制作を捉えた良本でした。
いずれ、「AI映画」という言葉は無くなるだろう、と著者はいいます。過去に、フィルムからデジタルに移行した時だけ、「デジタル映画」と呼ばれていたように。
映画制作の工程を、既存とAIで比較して説明していきます。
手段は大きく変わるが、本質は全く変わらない、と。
・AI映像生成は、忍耐のゲーム。AIとの作業は、精神的に疲れます。
・従来の撮影は「他者との協働」、AI映画制作は「自己との対話」。
・AIは「行間」が読めない。AI映画に役者はいない。クリエイターが全て細かく指定する。
・動画生成AIが苦手とする表現を知っておくことが大事。
・AIに脚本のフィードバックを頼んでも厳しい。
・脚本をAIに読み込ませて、映像制作が自動化。これは不可能。
・音声形式だけは、制作の前に決める必要がある。キャラクターの口をどう扱うかが変わるため。
・キャラクターに複雑な服装はおすすめできない。ストライプの服のストライプの幅がカットによって違ったり。
・AI映画の完成度を決めるのは「編集技術」である。
・完成後の修正ができるのはAI映画のメリット。
著者は、音声と音楽にはAIを使わなかったといいます。音楽生成AIは、映像の文脈を理解しないからと。
最後に、著者の言葉をもう一つ。
「どれだけツールが進化しても、その山を登ろうと意思を持つのは人間であるあなただけ」

