ドキュメンタリーの舞台裏

03監督・役者

『ドキュメンタリーの舞台裏』
大島新 著 2022年文藝春秋

深い満足感と共に読み終わった本でした。
ドキュメンタリー作家である著者が、自身の手法について語っていきます。
読みながら本の角を折っていたらほとんどのページを折ることになってしまいました。

また、中盤は著者がドキュメンタリー作家になるまで、そしてなってからのことが書いてあります。
年収まで書かれているくらい非常に具体的な内容でぐいぐい読ませます。

最後は、著名なドキュメンタリー作家三人について著者なりの評をまとめています。
僕は個人的にここも面白かった。
一般的に「対談」が多いですが、そうではなく著者が作品を分析し、評していく。

取り上げたいことは山のようにありますが、いくつかだけピックアップしてみます。

・「世界をどう見ているか」が一致していないカメラマンとは組めません。
ディレクターはカメラマンの撮る映像をいちいちチェックできないから、信頼して任せるしかないのです。

・父の言葉「カメラマンは運動神経がいい人がいいよ」

・(編集の初期段階で)重視しているのは「初見である視聴者の感情の流れを想像する」「どうしても伝えたい場面を優先し、それを邪魔する要素は潔くカットする」「ラストの読後感を大切に」

・ドキュメンタリーへの批判の一つに「意図的な編集だ」というものがある。しかし、意図的でないドキュメンタリーなどありません。

・ナレーションは、書かれた文字情報とは異なり目で読むことができません。あくまで音です。

・事前にロケハンをして撮影をすると、段取りがわかるので人物を前から撮れる。
その場で相手を追いかけるように撮影をすると、人物の背中からのショットが多くなる。

余談ながら、読み始めるまで、著者がある有名映画監督の息子だとは知りませんでした。
確かに顔がそっくりです ^^

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