『復活!ゆうばり映画祭』
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭実行委員会 編
2009年 北海道新聞社
ゆうばり。
自主映画を作る人間には、蠱惑的な響きを持った言葉です。
これまで知り合いも何人か参加している映画祭です。
同時に、夕張市の財政破綻により、
開催の継続が危ぶまれ、騒然としたのも記憶しています。
この本はその辺りの経緯、そして映画祭を残そうと奮闘する”中の人たち”を描きます。
・ただ継続させるだけでない、いかに質や内容でも勝負するか、スタッフの模索は続く。
・市からの支援がゼロになったため、協賛企業からの出資なしには開催できなかった。
・ボランティアだけに頼るわけにはいかない。善意だけでは長続きしない。
映画祭が続けられないと分かった後の、道内外の人々の奮闘。
それが静かに、熱く伝わってきます。
映画祭が始まった時の苦労と興奮も合わせて綴られ、冷めた目で見る人たちがいたことも驚きました。
僕が「へー」と思ったのは、関係者は年々減らされる市からの映画祭支援金により、もともと危機感を持っていたということ。
映画という夢と、継続するための現実的なお金。
この両面から映画祭を実現させていく意気込みが伝わってきます。
僕にとってはもともと近くて遠い存在でしたが、
本書を読んで、より身近に感じるようになりました。
ゆうばりに憧れてる人だけでなく、
映画祭の運営に興味ある人にもおすすめの一冊です。