『韓国式ストーリーのつくりかた』
パク・ソンス 著/松原佳澄 訳
2025年 日経BP
韓国で脚本家、ドラマプロデューサー、講師でもある著者が、韓国でのドラマ脚本のつくりかたを解説した本。
ドラマベースなので、シリーズもの、Netflix、といった言葉がなん度も飛び出します。
「2時間もののハリウッド映画をベースにした理論はもう使えない」という言葉に惹かれて読みました。
いくつかピックアップしてみます。
・作家になるために、自分だけの成長プログラムを持っておく。
・持続可能な作家になろうとするのなら、描きたいストーリーがいくつもなければならない。
タネは3つ4つで十分。10個以上になると、気乗りしないものから順に間引こう。
・物語の始まりはコンセプトを決めること。
コンセプトが決まったら、多様なジャンルに当てはめてみて、どのジャンルにいちばん合うかを模索してみる。
医療ものや捜査・犯罪・法廷ものは、最低でも一度は挑戦してみてほしい。
(定番の登場人物だから)
・コンセプトで一番重要なのは、主人公が何者か。
・主人公の性格は6つ作る。
・主人公と敵対する悪役も、立体的な性格があると、ストーリーへの没入感はより一層強力になる。
・葛藤を経験した主人公だからといって、暗く描いてはいけない。
・主人公の魅力や努力を30%増しに、弱点も30%盛る。
・視聴者は、ドラマの中の事件よりも、主人公の感情表現に反応する。
・第二幕で視聴者の注意を引くためにビジュアルで刺激をするのがいい。
(第一幕と第三幕は人物の感情を追うのに忙しい)
・ハッピーエンドなら不幸なシーンから、悲しい終わりなら思い切り幸せなシーンから始める。
・創作の基本原則「Show, Don’t Tell」(語らずに示せ)
・(新人作家には)できるかぎりナレーションを排除した台本を書くように薦めている。
・初稿はすべてゴミ。修正に時間をかける。
・エンディングシーンから修正していく。
・すべてのセリフは声に出して読もう。
・専門家でない人にレビューしてもらうのは、幼いライオンがシマウマに狩りの方法を聞くのと同じ。
400ページ近い厚さがありますが、読むというより、何度も「見返して使う」本だと思います。
脚本家になるには?普段どう学んでいけばいいのか?といった指南まで書かれています。
「主人公の性格の10の特徴」
「主人公の6つの葛藤カテゴリー」
「オープニングの作成方法20個」
「ストーリーのコンセプトを把握できる1枚のシート」
「初稿を完成させるための13のガイド」
「上手に修正するための23の方法」
といった、魅力的なタイトルも並びます。
三幕構成を否定?しながらも、しっかりそれに沿っているツッコミはありますが、
シナリオの書き方の本に縁がない人は、まずはこの本から始めてみるといいのではないでしょうか。